映画が教えてくれたこと

 

鑑賞メーターがなくなってしまうそう。悲しい。

大学4年のころから、映画をみたあとはすぐに感想を書き込んでいた。

データをインポートできたから、今までの感想をすべて見て、

これは残そうと思ったものをFilmarksに移す作業をしている。(大変すぎる)

 

こんなこと考えてたな~と自分のこと思い出す手段になっておもしろい。

ここにも少し残しておこうと思う。

 

・『ヤング≒アダルト

ベッドシーン観ながらこんなに泣いたのは初めてだった。主人公の言動は痛々しくて、殴ってでも止めたいほどで、そのあと抱きしめてあげたくなった。きっと女性であればどうしたって少しだけ、自分に被って見える部分があるはず。思い出はいつも綺麗だけど、今の自分を認めないと幸せなんか手に入らない。壊れた車にポメラニアンを乗せて都会に戻っていく主人公の姿を忘れたくないと思う。

 

・『レイン・マン』

ホットケーキのシロップを見て二人で笑うシーンと、噴水の水がきらめく中、兄が車を運転するシーンが好き。男の人の「こいつすげぇな」って思って心から笑う顔がすごく好きだと改めて思った。男同士って、不器用だけどあったかい。

 

・『17歳のカルテ』

繊細な心を激しく揺らす少女たちの記録。何かが暴れ出す瞬間がとてもリアルで、胸が痛くなった。異常だとか正常だとか言葉で言い表すのは簡単だけど、そこにいる生身の人間を本当の意味で理解できるのは生身の人間だけだ。そして私はデイジーのおかげで、生まれて初めて猫をかわいいと思った。

 

・『ワン・デイ』

さいごの20分くらいがとても良くて、涙が止まらなかった。電話番号をきいてキスするシーン、切なくて美しくて…。なにげない時間でも気持ちを伝えるのって大切だなぁ。美しい思い出があることは、つらく思えることも多い。でもそれがいつかきっと救いになる。そう信じたい。

 

・『ブルージャスミン

男に幸せにしてもらおうなんて思ったら終わりだけど、なんで私たちは男を諦められないんだろう 。この主人公をばかだなーと笑える側のひとになりたかったけど、なれないな。だって誰からも愛されたいしうらやまれたい。こんなレベルの女ってだれにも思われたくない。おもしろかったけど二度と観たくない。

 

・『チョコレートドーナツ』

マルコめちゃくちゃかわいかった。自分の部屋ができてうれしそうなマルコ…。歌うマルコを見つめるルディの表情は完全に母親だった。愛は自然にあるものではなくて育つもの。だから血も性別も関係ないはずなのに。ハッピーエンドであってほしかったけど、この話を本当のハッピーエンドにするのは、きっと私たちに委ねられているのだ。二人がかわす目配せが好きだった。

 

・『博士と彼女のセオリー

「時間」というこの世でもっとも残酷で美しいものを描いた作品。最後の逆戻り回想シーンはほんとうに胸が苦しくなった。本気で愛しても命を救っても、長い時間で見たときそれはほんの一瞬で、決して未来永劫続くものではない。だけどその一瞬に本物のきらめきであった真実は、だれにも奪えない。花火をみるシーンが好き。どんな瞬間も超えられる、私たちは超えてしまう。

 

・『プレシャス』

「I love you,write」レイン先生の言葉と目線が泣けて仕方なかった。学ぶこと・伝えることで、ひとは環境を変え、選んだ道を進むことができる。自分が思ってるよりも、居場所はたくさんあるものなのだ。勉強は無駄じゃなくて、人生の選択肢を広げてくれるものなのだと、日本の義務教育でももっともっと伝えていかなければならない。すべてのかわいい女の子たちのために、下手くそなかわいい文字が語りかけるすばらしい映画。

 

・『サガン-悲しみよ こんにちは-』

作中サガンが心から笑ったのは一度だけ、処女作「悲しみよ、こんにちは」の出版が決まったときだけだったのが本当に物悲しい。周りにいるひとで人生は大きく変わってしまうし、だれよりも愛されたいならば、まずだれよりも愛さなければいけないのだなぁと実感した。自己陶酔に満ちた、残酷で少女らしい処女作が大好きだが、ひとはどこかのタイミングで「だれかのために」変わらなければいけないのだろう。

 

・『イミテーション・ゲーム

「あなたが普通ではないから世界はこんなにもすばらしい」何千人もの命を救った英雄は、同性愛者であるというだけで差別を受け、自殺してしまう。人間の愚かさはある意味、どんな兵器や頭脳より最強だと実感させられてしまう。平和もコンピュータも、何もないところからひょっこり現れたものではないこと、きっと誰もが意識していなければならない。

 

・『スタンド・バイ・ミー

この4人がその後もずっと親友だったわけではないってところがほんとにいいんだよなぁ。子供時代ってそういうもので、だから特別なのだ。一瞬だけどすごく濃密な時間、今はぜったいにあの濃さを感じることはできない。クリスが泣くところが好き、彼がその後の自分の人生を諦めなかったのは、絶対にこの旅をしたからだと思う。容赦ない大人に歯向いながら真剣にまっすぐに明日のことを考えていたあの頃、決して綺麗なだけではなかった日々を懐かしく思い出す。ラストの曲がまたいいね。おしゃれな映画。

 

・『愛を読むひと

こんなに泣かされると思ってなかった。朗読する声を頼りに文字を覚えようとするシーン、声をあげて泣いてしまった。彼への愛だけがハンナを支えていたわけだが、再会した二人の間には超えられない「罪」という壁が立ちはだかり、甘さなど微塵もなく、二人どちらの気持ちも分かるだけにやるせなかった。若い頃の二人の思い出が美しければ美しいほど、歴史が犯した最大の罪の重さを思い知る。文字が読めないということは感情を表現しづらいということでもあり、そうして思い返せば、言葉足らずな若きハンナの燃えるような瞳が悲しい。

 

感情こめて書いていそうな感想だけ抜き出してみたけど、

「言葉」とか「時間」とかにすごく強く心惹かれるらしいことが明らかに…。

琴線に触れるキーワードみたい。

 

ナンバーワンを選ぶのはむずかしいし、人にどれを勧めるかも悩むよね。

映画も本も個人的な経験だから本当はひとりで見つけるしかないんだろうな。

 

私の信条は「むだなことはひとつもない」なんだけど、

実は一時期、映画を一切受け付けなくなった時期があって(仕事がいそがしすぎたし心の余裕がなかった)

でも映画好きの男の子に出会ってまた映画を見て感想を残すことを始めたんだよね。

その男の子との未来は結局選ばれることなく消えたけど、

彼に出会わなかったら、こんなにたくさん映画観なかっただろうから、

やっぱりむだなことはひとつもない。

良い映画を観るたびにすこしだけ思い出してるよ。元気でいてください。